キナ臭い話し、宮崎氏のレポートを和訳してみた

博士77
 ウクライナ危機の基本問題はNATOにあり。もしもウクライナがNATOに加盟し、攻撃を受けるとNATOは出撃義務を負う

 クレムリン宮殿へ足を運んだのは英、仏、独などNATOの主要国の首脳たちだけだった。続いて焦燥を滲ませるのは、国境に近いか隣接している、ポーランド、ドイツ、ルーマニアのバルト三国。

 そもそもロシアがなぜかくも強硬なのかといえば、冷戦終結とソ連崩壊のどさくさに、電光石火のごとく旧東欧諸国がNATOに加わったこと「これ以上増やさないとの約束を反故にしたのは西側だ」というのがプーチン大統領の論理である。

 ざっとNATOの歴史を振り返ると、そもそもの設立動機はソ連の脅威に対しての共同防衛を目指す集団保障体制の構築であり、創立メンバーは米・英主導のもとに、ベルギー、カナダ、デンマーク、イタリア、フランス、アイスランド、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェイ、ポルトガルだった。ドイツが加わったのはベルリン危機以後である。

 その後、1990年までに追加で加わったのはギリシア、トルコ、西ドイツ、スペイン。そしてソ連崩壊後、2000年までにNATOのメンバー入りしたのはチェコ、ハンガリー、ポーランドという強烈な反ソ意識の国々であり、現在までこの列に旧東欧諸国が仲間入りする。具体的にはブルガリア、ルーマニア、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、スロバキア、クロアチア、アルバニア、スロベニア、モンテネグロ。そして直近の加盟はギリシアと国名で揉めていた「北マケドニア」である。

 問題はNATOは条約という堅い制限、規約が付帯していること。「もし加盟国のひとつでも、敵に攻撃された場合、すべての加盟国は防衛義務を負う」とする第五条である。

 現段階では、NATO加盟国ではないウクライナが攻撃を受けても、NATOは軍事的反撃には移行できない。辛うじて英米独が武器援助をおこなっているだけ。

 現時点でウクライナはNATOの「パートナー」として扱われている。NATOは加盟を希望していても、条件が満たせないとして「パートナー」として扱っているのがウクライナ、グルジア(ジョージア)、そしてボスニア&ヘルツェゴビナである。旧ユーゴスラビア連邦でNATOに背を承けているのはセルビアだけ、孤立しているコソボは国家とは言えず防衛はNATO軍がしている。

 西側との協議を継続するため、ロシア軍は一部の軍を「演習が終わった」として撤収を始めたが、「近くへ移動しただけで、撤収ではない」と噛みついているのが英国(『ザ・タイムズ』、2月15日)。

 主要国は大使館員を引き揚げさせ、キエフの米国大使館ははるか西方の街へと『移転』した。大使館が空になったことで外交機能は止まり、首脳会談も電話でとなった。これで緩和方向に傾いたとしてウォール街も兜町も株価が反発しているが、緊張が去ったとは、とても言えない。