放送と通信の融合鬩ぎあいの果てに見えてくるもの

博士77
 このところのTV離れの情報の多さに驚いたか、在京TVキー5局が「TVer」なるネットでの配信を始めた。TV離れをネット同時配信することで歯止めがかかる。そんなイメージを抱いてのことであろうがでもちょっと間違っているので指摘と提案をしてみる。

 まず、TV離れの原因は、何も「電波をつかった放送」やTVの代わりに放送が観れる「スマホなどのツールによるもの」ではなく、視聴率に繋がるならばと、江戸時代の瓦版屋よろしく『ていへんだーぁ』と騒ぎたて、その影で不都合な真実を隠蔽し、偏向、捏造するなど放送法第四条の定めによらない報道姿勢や番組内容に視聴者が辟易としていた為である。

 米国でもABC、NBC、CBSの三大ネットワークは挙って共和党とTrump候補に向けてNegative報道に明け暮れたが、CNNのそれは突出したものであったが為に、その後のこの一年半でCNNの視聴者数は1/3に迄落ち込んでいる。300億円を掛けてネット配信「CNN+」を月600円で始めているが1ケ月たった契約数は全米で1万、Disneyチャンネルは開始当日だけで1千万の契約数があった。放送か通信かの問題ではないことが図らずも実証された感じである。

 日本に於いての視聴率は、ビデオリサーチとニールセンの二社が無作為に選んだ800ほどのサンプル視聴者の受信動向を示していたに過ぎなかったがネットでの視聴者数は秒単位でのリアルな実数として解るし、「いいね」やコメントなどのリアクションも把握できる。しかも全国へ流せて料金はTV広告の数十分の1と安上がり、スポンサーはこれを見逃す訳がない。

 ネットでの広告にスポンサーの多くが流れてることに直面し、TVerはそれを補うべくネットでの同時配信の積もりなのであろうが、三流ピン芸人が綾なすバラエティや低予算で制作される故の安っぽいドラマなどの放送が、巨額の制作費をつぎ込みつくられるハリウッド映画などをサブスク(定額見放題契約)で提供するSVOD(動画配信事業者)に太刀打ちできないということだ。SVODのひとつNETFLIXだけでも日本の契約者数は4,400万、NHKの契約者数3,700万を上回っている。

 NHKや民放TVの出番は大相撲や高校野球などスポーツ中継と選挙速報、そして地震などの災害報道くらいしかなく、地震などではそうした情報を一番必要とする地域が全滅するような激しいものであればあるほど停電や放送設備の損壊から放送や受信ができなくなる。その点、通信であれば光回線に難が及べばキャリアはスマホなど携帯端末に向け、衛星や移動中継車などを繰り出すことで事無きを得る。

 このキー局の挙動に一番驚いたのは地方TV局であろう。番組の95%をキー局からの垂れ流しでやっていた。これまでは地方TV局の地域をカバーするという価値があったが、通信では地方在住の視聴者も直接キー局の番組が見れてしまう。

 で、どうなるか?どうするか?

 もう電波という媒体は新聞雑誌などの紙媒体と同様に、過去のものとなりつつある、TV各局は基幹放送として免許された電波枠を売れるうちに(通信事業者へ)さっさと売ってしまうことだ。ネットで従前の放送業務は継続できるから悪いことばかりではない。地方局もキー局と同じで、これまでの地域をカバーするだけではなく、全国区で配信ができる放送局に進化できるということになる。何かよき番組がつくれれば、そこにスポンサーはつく筈だ。

 そうした中で議会中継やローカルの報道で地域に密着していく。ビジネスでは中古車や農機、スーパーや道の駅、農協、漁協などタイアップした「買い物情報番組」を豆にやれば、「ちんどん屋」としてのポジションが得られるだろう。スポンサー料を取るのではなく、成果報酬。売れた実績に対してロイヤリティを徴収するしくみもつくれる筈だ。蟹のTVショッピングを釧路や網走から配信し、放送局として「インチキはない」と示せるくらいの信用度は放送局にはある。

 ビジネスは環境適応ゲーム。ルールや背景が変わったならそれに順応することである。