博士77
 価値を通貨で「代用」させてきた世界が、価値を実態(実体)価値で「判断・決定」する世界に移行している。ということだと言っている。

 その理由として、通貨は国家が価値の含有率(帯同率)とは無関係に発行する姿に変わり果てた「ペーパー」に過ぎなくなったからだと。これと共に世界経済が国家単位で自己完結する国家群からなる国際秩序に移行しつつあることからして日本が踏襲・標榜してきた貿易立国の姿も「実態・実体価値を以てする貿易振興」に衣替えする必要があると。

 これをひらたく言えば我が国は「紙ッぺラのお札ではない外貨」と「生きるために必要な実態物質」が先ずもって「交換」される「貿易振興」を新たな目標としなくてはならぬということであるし、もっと言えば、通貨を使っての複式簿記の社会から、価値に焦点をあわせた複式簿記の社会に変化せざるを得ないということだろう。

 ここまで聴いて「あぁそうだな」と思い、「じゃあどうすっか」と考え実践できる向きは国民の数%もいないだろう。要するに理解できない。また理解できても行動を起こせない、つまり馬耳東風、猫に小判。斯くして情報は意味を持たず
巷を漂流するだけのものになる。

 そんな中で世の中がどんだけ乱れようがその影響を受けずにいる人が極く僅かながら存在する。先のコラムニストが「そう」だ。賢者とでもいうべき彼らは、ネットのような繋がりは持たない。曰く、「いい情報なんぞそのへんには転がってないからだ」と。

 それで、嘗てのニフティサーブの頃のBBSを思い出した。あの頃は1:nで繋がっていた。賢者も「instructive」な人との情報交換は旺盛なので、その「核」にそれなり人を擁した組織であればいいということになる。

 これは世界最大の保険組合であるLioyd’sがそうであり、Lioyd’sに登録されたブローカーがBooK(とかネーム)と呼ばれるSyndicate(会員組織)を纏め仕切っている。

 保険会社がリスクを分散するための再保険を受けることがLioyd'sの役どころであるがその受け手をBookが担う。BooKは地方貴族が多く、ブローカーからスリップ(再保険の打診)が示されれば、二つ返事でこれを受諾する。何もなければ保険料がBooKに按分配当される。何かあったときはBookには無限責任があり、居城なり農場などを全て手放してでも保険料支払いへの責任に応じることになる。

 Bookは1シリングも払わず高額な配当が得られる一方で奈落の奥底へと堕ちるかもしれない。それを引受て悠然としているカッコ良さ、潔さと、社会的役割が示せるBookは今でも人気があり貴族の大きな収入源となっている。

 先の賢者はBBSでLioyd’sに似たような形態を創り、スタートアップに応用してみてはどうだろうか?と言っていた。事業への投資をする訳ではなく、事業に問題があったとき出資者への救いとなる手立を講じる。出資者は保険料を払ってのことだが、出資を受けるスタートアップしていく企業から無償優先株を35%を提供させ、拒否権のあるこの株主数で「見張り」につく。上場したときにでも創業者に引き取らせて、役務を終える。結果、出資を加速させるというもの、AppleにせよGoogleにせよ「足長おじさ」んが現れなければ、ガレージから一歩も外へ出ることはなかった。